子ども社会臨床研究会の再始動にあたって年頭のご挨拶



2021年1月5日                      共同代表 亀口公一

子ども社会臨床研究会(子りん研)は、2011年東日本大震災の翌年から元子どもである大人6人が呼びかけ人となり、「はじめに子どもありき! (child child child child first )」をモットーに2012年3月18日に設立総会を開き、関西を中心に活動を始めました。
主に「障害児」も共に学ぶインクルーシヴ教育の実践報告を親・当事者も参加して交流し、京都と大阪で交互に開催してきました。それから10年の歳月が過ぎ、大人の社会(世界)はますます監視社会と格差社会が激しくなり生きにくくなっています。とくにこの間、呼びかけ人の一人である児童精神科医の川端利彦さんが亡くなられました。また、世話人の種々の事情が重なり、シンポジウムが開けないまま休止状態でした。
しかし、世界中では、この一瞬にもたくさんの人類の「国境なき子どもたち」が生まれ、「今、その場」で何も語らないまま生き抜いています。まさにその子どもたちひとり一人が世界で唯一無二の存在です。なぜなら、彼らひとり一人が、染色体46本の組み合わせ246通り=約7兆分の1の受精卵が成長した証であり、「奇跡」にほかならないからです。
だからこそ、世界中の子どもこそ、元子どもである私たち大人にとって、最後にして最大の希望の星なのです。

2021年1月5日                      共同代表 谷奥克己

2016年4月1日に施行された障害者差別解消法は「共生社会」を目指す法律ですが、コロナ禍の中、私の職場である放課後等デイサービス「東大阪そら」では、障害のある子どもたちも行き場所を奪われ、コロナ休校時も放課後デイサービスに行くことも制限されたため、とりわけ母子家庭の非正規職員は仕事を休まざるを得ない状況に追い込まれています。
インクルーシヴ教育についても「障害のある子どもと障害のない子どもが共に教育を受けること」を認めない「インクルーシブ教育(の解釈)は、特別支援学校での教育を排除するものではない」という横浜地裁の差別判決(2020年3月18日)が出ています。 このように子どもを取り巻く様々な課題が、コロナ禍の状況で山積みされています。
この間、発起人も含め高齢化や病によって亡くなられた人もあり、継続することの困難さを抱え、昨今、定例勉強会も開けないまま過ごして来ました。 子りん研では、再度、もう一つの基本的人権ともいえる「子ども当事者主権」の確立をめざして、15歳以下の子どもの声なき声を代弁していきたいと思います。